yurico’s note

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オススメBL小説編⑤雨降りvega(凪良ゆう)

あなたは好きになってはいけない人を好きになった事がありますか?

凪良さんは、あとがきでこう綴っています「押さえ込んでいるがゆえにじわじわと高まる一方の熱を書きたかったように思います」本当に。本当にこの一言に尽きるような気がします。

穏やかで静かに見える人も心の内には激しい嵐を持っている。その身を焦がすほどの恋心を。
七夕の日。ご紹介するのは凪良ゆうさんの作品の中で一番好きな作品かもしれない。そして映画化して欲しいなあと思っています。本屋大賞作品「流浪の月」で凪良ゆうさんのファンになったBL作品を読んだ事のない方にも是非とも読んで頂きたい小説です。

   

雨降りvega(凪良ゆう)幻冬舎ルチル文庫2013.12

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登場人物

・新開巧・・・大学講師 29歳   ・白石文人・・・セクシャリティに悩む高校3年生 

あらすじ
もう一生誰にも心を開かないし恋もしない……傷つき頑なだった文人を優しく解いてくれた彼は絶対に好きになってはいけない人だった。
自分の性癖に悩んでいる高校生の文人が唯一心を開くのはネットで知り合った年上の男性「アルタイル」趣味の天体観測を通じて穏やかにメールを交わしている。高校の卒業式が終わった後、文人はアルタイルとのメールを交わす中で、友人に打ち明けてみようかと言う気持ちになりゲイである事を告白するも、友人の言動に深く傷ついた文人はアルタイルに「死にたい」とSOSを発信する。駆けつけたアルタイルと初めて会いその人柄に惹かれるが……

 

静の内にある激しい愛の物語

凪良作品の中では珍しく攻め・受けともにとても穏やかな性格です(凪良さんはツンデレ受がお好きなので)この小説をひとことで表すとしたら
鳴かぬ蛍が身を焦がす=「静の内にある激しい愛の物語」でしょうか。


事あるごとに言ってるのですが凪良さんのBL小説を読んでいると、BL小説と一般小説の境界線が分からなくなる時があるんですよね。
BL小説なのでもちろん恋愛がベースなんですが実はそれ以外の部分ですごく胸に響く場面があったりしてね。いいこと言うんですよ。登場人物たちが。グッときた言葉たちは心の片隅に小さくメモしております。

主人公の文人は聡明で理知的で控えめな男の子なんだけど、それは恋を知る前の彼であって、恋を知ってからの文人が変わっていく様がとてもよかった。元々持っていたんですよね。燃えるような情熱を心の中に。新開にもそれを感じました。

 
好きになってはいけない人を好きになってしまう

「雨降りvega」確かに雨が大事なキーになっている物語なあと思います。初めて結ばれた朝のシーン「君と会う時はいつも雨だった」という新開の言葉が本当に切なくて。部屋を出ていった後の2人、それぞれの描写の情景が目に浮んでまた切なさが増して。そこで思ったんですよね。ああ映画化して欲しいなって。この時の文人と新開の表情を見てみたいと。

この物語は「好きになってはいいけない人を好きになってしまう」というテーマだからなのか?評価も二分しているようです。
でも私にとっては凪良ゆう作品の中でも心臓をつかまれるような苦しさと切なさを一番感じる本当に大好きな作品です

ひどくからまっているようで、実はすごく簡単なような、細い糸の両端をふたりで為す術もなくにぎっている」心では結ばれているのに一緒になれない2人。前にもすすむ事も出来ず、かと言って簡単に手放す事もできず途方にくれる心情をこの一行に表わす凪良さんの才。

好きになってはいけない人を好きになる恋の物語は世の中にたくさんあるでしょう。けれど、そんな恋の話をこれほど泣きながら読んだのは初めてで本当に苦しくて切なかった。終盤はずっと泣きながらも、その先の希望を信じ痛がりながら読みました。

 誠実でいなければ。誰も傷つけてはいけない。自分の気持ちに蓋をして大切なものを手離す姿は本当に切なく「自分がこんな風に泣くなんて知りたくなかった」という文章が胸に刺さる。文人の気持ちで号泣し、新開の気持ちで泣いた。時には違う人物の気持ちで。

果たされないはずだった約束

出会いの順番と言う運命のいたずらを、互いの想いの強さで乗り越えた2人にあたたかい涙が溢れました。「いつか、ふたりで満天の星空をみたい」果たされないはずだった約束。気持ちを捨てなかったからこそ再会できた。想いを手離さないでいてくれてありがとう。何度読み返しても同じ場面で泣いてしまう。本当に心に沁みる愛の物語です。


私もいつか陸別町に行ってみたい。
文人と新開が見た満天の星をみに。